上馬塲和夫 医師、医学博士
帝京平成大学 東洋医学研究所 教授
1978年広島大学医学部卒業後、虎の門病院内科に入局。 幅広い西洋医学的知識を身につけた後、 東西医学の融合をライフワークとすることをめざして、 日本初の東洋医学研究所である北里研究所付属東洋医学総合研究所に 入所し、漢方医学や鍼灸の臨床、漢方薬理の研究に従事する。そこで、インド伝統医学アーユルヴェーダに出合い、東洋医学の融合が可能であることを直感する。北里研究所にて臨床薬理の研究に携わりながら、アーユルヴェーダの現代医学的研究に取り組む。 その後、富山県国際伝統医学センターを経て、2010年より現職。
魚津市浦田クリニック統合医療研究所所長
内閣府認証NPO法人日本アーユルヴェーダ協会理事長
日本臨床薬理学会評議員
日本アーユルヴェーダ学会理事
日本アロマテラピー協会顧問
日本ホリスティック医学協会理事
上馬場先生からのご推薦コメント
私はもともと日本の医学部を卒業し、西洋医学の治療学の基礎研究をしてきましたが、 同時に東西医学融合のための臨床研究をしてきました。 その立場から見て、東洋医学が西洋医学と異なる基本的な点は、患者さん本人の体内にある 自然治癒力を信じ、それを活性化させることでその人全体を治していくという点です。
このような特徴をもつ東洋医学の中でも、 なぜアーユルヴェーダが、特に優れていると感じるかというと、 アーユルヴェーダが「自己治療の科学」とよばれる医学だからです。 たとえば、同じ東洋医学でも漢方医学においては、医師の調合テクニックや気のパワーの強さ、鍼の技術などに患者が頼って、治していきます。しかし、アーユルヴェーダでは、自分自身が自分の体や心の状態を知り、それに対して、自分で対処する方法を教えてくれます。 つまり医師に頼るのではなく、自分が自分の心と体のかかりつけ医になるのです。 これは現代でいうところの予防医学であり、最近になってようやくWHO等が、 その予防医学の有用性に気づいて、重視し始めたところであります。
私の恩師であり、西洋医学の最先端を研究している日本有数の生理学者も、「西洋医学はもう古い。生理現象をどんなに細かく分解してもその生理現象を動かしている 根底に存在する力、つまり物質ではなく心や精神について研究していないからだ」 とおっしゃっていて、にわかに現代医学業界でも注目が集まっているところであります。 私が最近アーユルヴェーダで注目しているのは上記のような点に加えて、 生命観や死生観の問題に関しても大きな示唆を与えてくれる点です。 医療従事者の生き方そのものまでも教えてくれる、まさに壮大な医哲学体系であり、 西洋医学の医師としてもアーユルヴェーダを広くすすめていきたいと考えています。
寺尾友宏 医師
プライマリ整形外科麻布十番クリニック院長
平成9年東京医科大学医学部卒業 東京警察病院、洛陽病院、東京ミッドタウンクリニックなどを経て、 プライマリ整形外科 麻布十番クリニックを開設 第61回国民体育大会の帯同医として参加するなど、スポーツ医としての活動も行う。
寺尾先生からのご推薦コメント
整形外科は、主に「痛み」と「運動機能障害」を取り扱う科です。 痛みは「器質的な側面」と「精神的な側面」があり、器質的側面とは「炎症」や「損傷」、「断裂」といった、その部分自体のダメージを意味します。 一方、精神的側面とは痛みが心理状態やストレスの影響を受けることを意味します。 痛みを管理する為には、器質的な部分と精神的な部分の両方を管理する必要があると考えます。
西洋医学ではどうしても痛みの管理を完全に行うことができない場合があります。 その理由として、薬が作用するのは器質的な部分のみと言われているからです。 また、薬で一時的に痛みが管理できても、再度痛みが現れることもあります。 当院ではそれを予防する方法としてトレーニングやストレッチを中心とした理学療法で 身体を鍛える事を積極的に取り組んでいます。しかしながら、それでも完全に痛みを取り除くことは難しいのです。
そこで、私は痛みを徹底的に管理する目的で、西洋医学以外のアプローチ方法を検討するようになりました。元々、鍼灸の鎮痛効果は高いと言われていたので、鍼灸治療を並列で行うことを始め、 また、精神的な影響への働きかけとしてアロマトリートメント、心理カウンセリングなどを取り入れるようになりました。 更に他の手段はないものかと調べている時に、アーユルヴェーダを知ることになったのです。
元々、アーユルヴェーダという名前は知っていたものの、詳細は判らず、どちらかと言えば、エステなどのイメージでした。 しかし、調べてみるほどに、西洋医学の隙間を埋めてくれる可能性が高いと感じました。 5000年の歴史のある医療体系、日常生活全般にも働きかける事のできるアーユルヴェーダに期待をしています。
英国アーユルヴェーダカレッジ日本校にコンタクトを取ったのは、しっかりとした教育を受けた卒業生が多いと思ったからです。また、美容的な側面だけでなく、「医療」としてのアーユルヴェーダを学んだ人が多くいると感じたからです。 今後は、西洋医学と代替医療、補完医療の良い点を取り入れ統合しながら、さらに深く痛みの治療に携わりたいと考えています。