TOP > スタッフブログ > つらい生理に、アーユルヴェーダのやさしい処方箋 – 体質別にわかる!生理中の食事・習慣・メンタルケアの実践ガイド –

「生理になると毎月つらい」「イライラや体調不良が止まらない」そんな声を多く耳にします。

痛みや不調は、体と心の「整えてほしい」というサイン。自分の体質に合った食事や過ごし方を選び、少しだけ丁寧に自分をいたわることで、生理はぐっとラクになり、前向きに向き合えるようになります。

この記事では、アーユルヴェーダの智慧を活かして、生理中の体と心を優しく整える方法を、具体的かつ実践的にご紹介します。

目次

生理は「浄化」であり「自然なデトックス」:アーユルヴェーダ的な捉え方

アーユルヴェーダでは、生理は単なる月1回の不快な現象ではなく、女性にとってとても大切な「浄化のプロセス」と考えられています。体にとって不要になったもの――毒素や老廃物――を体外に排出するための、体本来がもつデトックス機能です。

この考え方は、尿・便・汗・涙といった他の排出物と同じように語られながらも、「生理は女性だけが持つ特別な排出手段である」という点で、より大切な自然現象として位置づけられています。現代社会では「面倒なもの」「わずらわしいもの」として扱われがちな生理ですが、アーユルヴェーダはこの時期を、心と体を内側からリセットするために無理せず静かに過ごすべき時間と捉えています。

経血=ラサダートゥの副産物という視点

アーユルヴェーダの古典的なテキストでは、経血は「ラサダートゥ(Rasa Dhatu)」という組織の副産物とされています。ラサダートゥは、食べたものを最初に受け取り、身体全体に栄養や水分を運ぶ“液体の栄養素”のような存在です。つまり、経血の質は、食事の内容や消化力(アグニ)の状態と密接に関係しており、それがその人の健康状態の「鏡」となるのです。

この考え方に基づけば、経血の量・色・におい・期間の安定度などは、日々の生活習慣やストレス状態、食生活の影響を如実に反映しています。たとえば「赤~鮮紅色」「悪臭がない」「適度な粘度」などが健康的な経血の特徴とされており、これらに異変がある場合は体内のラサダートゥや消化機能の乱れを疑う必要があるということになります。

「Pushpa」などアーユルヴェーダでの呼び名の意味

アーユルヴェーダでは、月経に対して多くの詩的で意味深い呼び名が存在します。たとえば、「Pushpa(プシュパ)」という言葉は“花”を意味し、月経が生命の種子を育む準備のための現象であることを象徴しています。

他にも、「Aartava」(生理的な経血)、「Raja」(月経中の血液)、「Masikasrava」(月ごとの排出)などと呼ばれることがあり、それぞれが生理の役割や特徴を多角的に表しています。これは、生理を単なる生理現象ではなく、女性の身体に宿る“命のリズム”として捉えるアーユルヴェーダ独自の深い尊重の姿勢を示しています。

あなたの体質はどのタイプ?ドーシャ別・生理中に出やすい不調とその傾向

アーユルヴェーダでは、人間の体と心は「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」という3つのエネルギー(ドーシャ)によって構成されており、生理中の不調も体質によって異なる特徴を持ちます。体質に合ったケアを行うためにも、自分がどのタイプに当てはまるのかを知ることはとても大切です。

ヴァータ型:チクチク痛みと不安感

ヴァータが優位な体質、あるいはヴァータが乱れている状態の人は、生理中に「チクチクした痛み」や「鋭い痙攣のような違和感」を下腹部や腰に感じやすくなります。また、感情面では不安や緊張、神経質な状態になりがちで、夜眠れなかったり、ちょっとしたことで心が揺れたりする傾向が見られます。

このような方には、温かく落ち着いた環境で過ごし、体を冷やさず、食事にオイルを含んだ料理(ギーを使ったスープなど)を取り入れることが効果的です。激しい運動や外出は避けて、できるだけ静かに、内側に意識を向けることが推奨されます。

ピッタ型:イライラ、灼熱感、臭いのある経血

ピッタ体質の方、もしくはピッタが過剰な状態にある場合、生理中に強いイライラや怒りっぽさが現れやすくなります。体温の上昇や顔の赤み、灼熱感といった“熱”にまつわる症状が特徴的で、経血も赤みが強く、時に生臭く酸っぱい強い臭いを伴うことがあります。

こうした場合は、辛いものや脂っこいものを避け、消化に優しい温かい野菜スープなどを中心に摂ると良いでしょう。特に、ピッタを鎮める作用のあるアムラやコリアンダーを取り入れたハーブティーがおすすめです。

カパ型:重さ、粘度、黄色がかった経血

カパが優位な人や、カパが乱れている状態のときは、体に「重だるさ」や「むくみ」が現れやすくなります。経血はやや黄色がかっていて、粘度が強く、長く続く傾向もあります。また、精神的にも“鈍さ”や“やる気のなさ”といった特徴が出やすくなるため、生理中に無気力感を感じる人も多いです。

このタイプの方は、余分な水分を排出するための軽めの運動や、利尿作用のあるハーブティー(ジンジャーやシナモンなど)を活用するとよいでしょう。また、糖質や乳製品の摂りすぎはカパを悪化させるため注意が必要です。

生理中の体ケア:食事・生活・運動まで全リスト【実践編】

生理期間中は、身体が「デトックス」に集中している状態。アーユルヴェーダでは、この浄化のプロセスを妨げないよう、日常の食事や生活習慣にも特別な配慮が必要とされています。ここでは、アーユルヴェーダ的に推奨されている具体的な過ごし方をご紹介します。体質に合わせながらも、どなたでも実践しやすい方法ばかりですので、今日から少しずつ取り入れてみてください。

食事①:温かく軽い・鉄分・消化しやすい食品

生理中は消化力(アグニ)が低下しやすく、冷たいものや重たいものを食べると体に大きな負担がかかってしまいます。基本は「温かくて軽いもの」「鉄分を意識」「植物性中心」の3点を心がけましょう。

たとえば、お粥や煮込み野菜スープ、ギー(精製バター)を少量使ったご飯などは、消化にも優しく、エネルギー補給にもなります。また、鉄分が豊富な食材(レンズ豆、ほうれん草、ひじきなど)も意識して摂ると良いでしょう。

食事②:避けるべきもの(チョコ・チーズ・揚げ物・炭酸)

一方で、生理中に避けたい食べ物もはっきりしています。アーユルヴェーダでは、チョコレートやチーズ、乳製品、冷たい飲料、炭酸飲料、揚げ物、小麦を使った重たい料理は、いずれも消化に負担をかけ、毒素の蓄積を促進してしまうとされます。

とくに生理前〜初日は体が敏感になっており、これらを摂ることで腹部の張り、むくみ、だるさなどを悪化させてしまう可能性があります。「甘いものが欲しい」と感じたときは、温めたオーツミルクにギーやはちみつを加えたドリンクがおすすめです。心もホッと落ち着きます。

食事③:アーユルヴェーダ的おすすめ食材

アーユルヴェーダでは、体の機能を助けてくれる食材を“薬”とみなします。特に生理中におすすめなのは、以下のような食材です:

  • ギー:消化力を整え、ホルモンバランスにも良いとされる万能オイル。ホットミルクに少量加えたり、お粥に混ぜたりすることで、ヴァータを鎮める効果があります。
  • アムラ:ビタミンCが豊富なインドのスーパーフルーツ。抗酸化作用と消化促進効果が高いのが特徴。免疫力アップや老廃物の排出を促し、ピッタの鎮静にも役立ちます。アムラパウダーやアムラ配合のお茶で取り入れるのがおすすめです。
  • グドゥチ:ストレス緩和、肝機能サポート、消化力の強化に優れたアダプトゲンハーブ。生理による情緒不安定や疲労感の軽減に役立ちます。

●      コリアンダーシード

香辛料としても馴染みのあるハーブですが、アーユルヴェーダでは体内の熱を下げながら痛みを和らげる働きがあるとされています。10gの種子を焙煎し、熱湯250mlでティーにして飲むのがおすすめです(1日1回、生理の1週間前から)。

これらはすべて、アーユルヴェーダティーやスープなどの形でも取り入れることができます。通販やオーガニックショップで手軽に入手可能です。

飲み物:コリアンダーティー/にんにくブラックペッパー湯

水分補給はアーユルヴェーダにおいてとても大切です。とくに白湯やハーブティーは、身体を温めながらデトックスをサポートしてくれます。

「ドクターCTスキャン」の異名を持つ、スリランカのアーユルヴェーダ医、Dr.ディネッシュの処方として紹介されているのが、焙煎コリアンダーシード10gを熱湯250mlで煎じたスパイスティー。月経の1週間前から1日1回飲むと、重い生理痛の緩和に効果的とされています。

さらに、「にんにく10g+ブラックペッパー5gを水125mlで煮出す」ドリンクも効果があるとされており、強力な温熱作用で体を内側からサポートしてくれます。

軽運動:ウォーキング・ヨガポーズ

アーユルヴェーダでは、激しい運動はヴァータを乱すとされ、生理中には避けるべきものとされています。その代わりにおすすめなのが「軽いウォーキング」や「リラックス系のヨガ」です。

特に、合蹠のポーズ(バッダコーナーサナ)や、膝の後ろを伸ばすような柔らかいポーズ、そして内臓を締め付けない程度の軽いねじりポーズが効果的です。

注意したいのは、肩立ちや逆立ちなどの“逆転ポーズ”。経血の流れを妨げてしまうため、避けることがすすめられています。

入浴・洗髪

アーユルヴェーダでは、経血量が多い時期(特に1〜3日目)は体を過剰に温めると出血量が増える可能性があると考えられています。そのため、この期間の湯船への入浴や洗髪は控え、シャワーのみにするのが望ましいとされています。

また、頭部を洗うことで「冷え」や「乾燥」を招き、心身に空虚感や不安をもたらすとも言われています。出血が落ち着いたタイミングからセサミオイルなどを使った頭皮マッサージと洗髪を再開するのが理想です。

生理用品

アーユルヴェーダでは、経血は受精、あるいは着床しなかった細胞が自然に不要なものを排出していると考えます。そのため浄化をスムーズにするためにも、タンポンではなくナプキンを使用することをおすすめします。

オーガニックコットン製の布ナプキンを使うことで、肌への刺激も減らし、より自然な形で浄化をサポートできます。最近では防水性や抗菌加工がされた布ナプキンもあり、洗って繰り返し使えるため、環境にも体にもやさしい選択肢として注目されています。

布ナプキンの使用に抵抗がある方は、肌に触れる部分がオーガニックコットンのナプキンを使用することから始めてみましょう。

鎮痛剤を使わずに痛みを和らげる自然療法

生理痛がつらいと、つい鎮痛剤に手を伸ばしてしまいがちですが、アーユルヴェーダでは体からのサインを無理に抑えることは、長期的には体に負担をかけると考えます。そのため、なるべく自然な方法で痛みを和らげることが推奨されています。

前述したコリアンダーシードティー(10gの焙煎コリアンダーを熱湯250mlで抽出)や、にんにく10g+ブラックペッパー5gを125mlの水で煮出した飲み物は、冷えを改善し、痛みを穏やかにしてくれることで知られています。

また、深い呼吸法(プラーナヤマ)や腹部を温めるヨガポーズも、身体と心の緊張をほぐしてくれるので、痛みが強くなる前に試してみるとよいでしょう。

睡眠と昼寝:夜の睡眠は最優先、昼寝は控えめに

生理中は風のエネルギーであるヴァータのエネルギーが乱れやすく、体力が落ちやすいため、しっかりと睡眠をとることが非常に重要です。アーユルヴェーダでは「睡眠は最高の癒し」とされ、体の修復や感情のバランスを整えるためにも、夜は早めにベッドに入り、最低でも7〜8時間は眠るように心がけましょう。規則正しい生活をすることで、疲労感だけでなく、不安感も軽減することができます。

一方で、アーユルヴェーダでは昼寝は推奨されていません。特に食後すぐの仮眠は、血液やエネルギーの流れを滞らせ、毒素(アーマ)をため込みやすくなってしまいます。どうしても眠気が強い場合は、壁に寄りかかるような短い休憩にとどめ、完全に横になって眠るのは控えましょう。

移動・激しい運動・性交渉を避ける理由

アーユルヴェーダでは、生理中は体が「排出モード」に入っているため、余計な刺激やエネルギー消耗を避けるべき時期とされています。そのため、以下のような行動は可能な限り避けるようすすめられています:

  • 長距離の移動:ヴァータを乱す最大の要因。疲れが蓄積し、痛みや不調を招きやすくなります。
  • 激しい運動:血流のコントロールを乱し、経血の流れが不規則になる可能性があります。
  • 性交渉:浄化のプロセスを妨げ、身体にも精神にも負荷をかけてしまいます。チャラカサンヒターには「不幸への入り口」とも記載されています。

この時期は、無理に「いつも通り」の生活をするよりも、意識的に「心と体のスペースを空ける」ことが大切です。できる限りスケジュールを緩やかにし、呼吸・休息・温かい食事を中心にしたシンプルな生活を心がけましょう。

瞑想や呼吸法で「内観」の時間を持つ

生理中は、体だけでなく心もデリケートな状態にあります。アーユルヴェーダでは、このタイミングを「自分自身と向き合うための最適な時間」として活用することをすすめています。

瞑想(ディヤーナ)は、思考の雑音を鎮め、ホルモンバランスや自律神経の安定にも良い影響を与えるとされます。特に、心のモヤモヤや執着している感情を手放すイメージで瞑想をすると、心もスッと軽くなるような感覚が得られるでしょう。

また、プラーナヤマ(呼吸法)を取り入れることで、自律神経を整え、イライラや不安をやわらげることができます。おすすめは「ナーディショーダナ(片鼻呼吸)」や「アヌローマヴィローマ」などの静かな呼吸法。寝る前や朝の時間に数分行うだけでも、内面のバランスが整います。

生理中の心ケア:感情・五感・思考の整え方

生理中はホルモンバランスの変化だけでなく、アーユルヴェーダ的にも「心が最も敏感になる時期」と言われています。特にヴァータやピッタの乱れがあると、不安感やイライラが強くなり、感情がコントロールしにくくなることも少なくありません。

このタイミングで心に過剰な刺激が加わると、体のデトックス機能が滞ったり、次の周期に悪影響が出たりすることも。心を穏やかに保つためには、外的な環境を整えるとともに、自分の内側に意識を向ける「内観」の時間を持つことが大切です。

受け取る刺激を減らす

アーユルヴェーダでは「五感からの刺激」が体と心に与える影響を非常に重視しています。特に生理中は感覚が敏感になり、普段は気にならないような刺激でも心身の負担になってしまうことがあります。

たとえば、

  • 大音量の音楽やテレビ
  • 強い香水やアロマ

  • ネオンカラーや派手なデザインの服

  • まぶしい照明や眩しすぎるデジタル画面

こういった刺激は、体のデリケートな神経系を興奮させ、イライラや頭痛、不眠の原因になる可能性があります。

おすすめは、淡い色の肌触りのよい服を着ること、間接照明のある空間で過ごすこと、自然音やゆったりした音楽をBGMに使うことなど。優しく包むような「静かな時間」を意識してつくってあげましょう。

「思考疲れ」は控える:仕事と家事の優先順位

思考の使いすぎ――つまり「考えすぎ」も、ヴァータを乱す大きな原因のひとつです。仕事や家事、子育て、人間関係……生理中であっても休めないことはたくさんありますが、「全部をがんばらなくていい」と自分に許可を出すことも重要です。

特におすすめなのが、“優先順位”をつけるという発想です。

  • 仕事が外せないなら、家事を手抜きする
  • 家族のご飯は買ってくる
  • 洗濯は明日に回す

そんなふうに、「やらなければ」から「今はやらないでもいい」に切り替えることで、思考の消耗を抑え、心に余白が生まれます。

情報断食のすすめ:ニュースやSNSからの離脱

現代の私たちは、スマートフォンやパソコンを通じて、一日に何千という情報にさらされています。特にSNSやニュースは、気づかぬうちに私たちの心に「焦り」や「不安」を植え付けてしまうものです。

アーユルヴェーダでは、生理中は「感情と直感が研ぎ澄まされる時期」でもあるため、不安定な情報との接触をできる限り減らすことが望ましいとされています。

具体的には:

  • SNSは1日1回だけにする
  • 全ての通知が来ないような設定にする
  • スマホを寝室に持ち込まない

など、小さな工夫でも十分効果があります。代わりに、好きな本を読む、香りを楽しむ、キャンドルを灯すなど、“今ここ”の感覚を味わえる時間を大切にしてみてください。

今までSNSに使っていた時間にジャーナリングをしてみるのもおすすめです。心の中の言葉を外に出すことで、内面にたまった感情が自然と整理されていきます。

生理をサポートするアイテムと習慣

生理中のケアにおいて、体質に合った食事や休息と並んで重要なのが、「アイテム選び」や「セルフケア習慣」です。アーユルヴェーダでは、薬や機械に頼らず、自分の手で整える日々の工夫をとても大切にします。

ここでは、アーユルヴェーダの知恵にもとづいた、心と体をそっと支えるアイテムや習慣をご紹介します。すでに使っているものも、少し意識を変えるだけで効果がぐんと高まるかもしれません。

おすすめハーブティーブランド3選

ハーブティーは、心を静め、体の巡りを整えるアーユルヴェーダ的ケアに最適なアイテム。以下は、国内でも手軽に入手できるおすすめブランドです。

 HIMALAYA  アムラ&ターメリックティー

抗酸化作用と解毒作用に優れたアムラ&ターメリック配合。ピッタ体質の方に特におすすめです。

②SONNENTOR 女性のためのお茶

バラやフェンネルの香りがヴァータとピッタを整えてくれます。

PUKKA womankind

シャタバリが入っていることで、生理中だけでなく、女性の健康全般をサポートしてくれます。

生理周期アプリ × アーユルヴェーダ:体調日記のすすめ

現代だからこそ活用したいのが、生理周期管理アプリとアーユルヴェーダの組み合わせです。アプリで生理周期を記録しつつ、その日の気分・痛みの程度・食事・感情の揺れなどを簡単にメモしておくと、自分のドーシャの乱れや体質の変化に気づきやすくなります。

たとえば、

  • 「生理前は決まってイライラする」 → ピッタの乱れ
  • 「生理中は便秘になる」 → ヴァータの乱れ
  • 「眠気が強く食欲も増す」 → カパの乱れ

といったように、サイクルの中で出やすい傾向が見えてくるようになります。

おすすめのアプリには「ルナルナ」「Flo」「Period Tracker Clue」などがあります。手帳やノートで記録するのももちろんOKです。アーユルヴェーダの“観察する力”を育てる第一歩になりますよ。

月経周期全体のアーユルヴェーダ的ケア

アーユルヴェーダでは、生理中のケアにとどまらず、月経の前後も含めた一連のサイクル全体を整えることが重要とされています。生理は、身体が老廃物を排出する“終わり”のように見えますが、同時に“次のサイクルの始まり”でもあるため、ケアの仕方次第で次の生理の質も変わってくるのです。

ここでは、「生理前」「生理中」「生理後」の各期間に適した過ごし方を、アーユルヴェーダの視点から解説していきます。

月経前(PMS)にすべきこと/避けること

生理の1週間〜数日前に起こる不調(PMS:月経前症候群)は、ドーシャの乱れや毒素の蓄積が表面化しやすい時期です。イライラ・便秘・眠気・食欲の変化など、感情と身体の両方に揺らぎが出やすくなります。

この時期にすべきこと:

  • 温かくて軽めの食事に切り替える(消化力が落ちるため)
  • 塩味をやや多めに意識(過剰な甘味欲求を抑える)
  • グドゥチやアムラのティーで体調を安定させる

  • 早寝早起きのリズムを意識する

避けるべきこと:

  • チーズ・チョコ・スナック菓子など、重くて脂っこいもの
  • アルコールやカフェイン
  • 過度な情報摂取(SNSや刺激的な映画・ニュースなど)
  • 感情的な衝突(ピッタが増大しやすい)

この時期はあらかじめ準備することが大切です。身体に優しい生活を心がけることで、PMSの症状を軽減し、生理期間をスムーズに迎えることができます。

月経中のケアを次の生理周期に活かすポイント

生理中は身体が「浄化」と「休息」を最優先にするフェーズ。前章までに述べたような、消化に優しい食事・十分な睡眠・静かな環境・瞑想や呼吸法などを実践することで、身体は本来のバランスに戻ろうとします。

そしてこの時期は、自分の感情や思考のパターンが表に出やすいため、セルフチェックのチャンスでもあります。

例えば、

  • 「何に対して怒りを感じたか」
  • 「不安になったとき、どう対処したか」
  • 「何をすると心が落ち着いたか」

といった観察を記録しておくことで、次の生理に向けた心の準備ができるようになります。アーユルヴェーダではこれを「サットヴァ(純粋性)の増加」と呼び、自己理解を深める行動の一つとしています。

月経後〜排卵期に向けて:エネルギーの回復方法

生理が終わると、体は徐々に「回復と再生」のフェーズへと移っていきます。この時期にしっかりとしたケアを行うことで、次の排卵期・生理期のコンディションが整いやすくなります。

おすすめの過ごし方:

  • 栄養価の高い食材を取り入れる(豆類、根菜など)
  • 軽い運動で巡りを改善(ウォーキングや太陽礼拝などのヨガ)
  • 頭皮や全身のオイルマッサージ(アビヤンガ)を再開
  • 心を開放する活動(創作、自然に触れる、旅行など)

また、このタイミングではエネルギーが上昇しやすいため、積極的なチャレンジや学びを始めるにも最適です。アーユルヴェーダでは、排卵期を「創造性のピーク」と位置づけ、女性が最も輝く時期としています。

アーユルヴェーダの女性ケアは、“今この瞬間だけを見る”のではなく、女性のライフサイクル全体を通して心身の流れを整えることを目指しています。月経周期の各ステージで、少しずつ丁寧に自分に寄り添うことが、ホルモンバランスや感情の安定、そして「自分らしい健康」へとつながっていくのです。

専門家に聞く:名医Dr.ディネッシュ夫妻のアドバイス

生理にまつわる不調やケアに対して、アーユルヴェーダの視点をもっと深く知りたいと考えたとき、参考になるのが専門医のアドバイスです。

スリランカ国立コロンボ大学アーユルヴェーダ・メディスン&サージェリー卒の名医であるDr.ディネッシュ・エディリシンヘ医師と、婦人科とメンタルヘルスを専門とするDr.ディネッシュカ・ディサナーヤカ医師のご夫婦は、日本でも多くの指導経験をもち、現代女性の生理トラブルに対してアーユルヴェーダ的なアプローチを提案しています。

「生理の質がその人の健康を表す」その真意とは

Dr.ディネッシュは、「女性の生理の質は、全体の健康状態のバロメーターである」と語ります。アーユルヴェーダの古典書によれば、経血は“ラサダートゥ(第一栄養組織)”の副産物。つまり、食事、消化、吸収、排出のすべてのプロセスが健全に行われていれば、経血も健やかな状態になるというわけです。

健康的な経血の条件として、彼は以下のような項目を挙げています:

  • 色は黒みがかった深い赤(野ウサギの血の色にたとえられる)
  • においがなく、布にシミが残らない
  • 3〜9日間の連続した排出
  • 経血量は60〜300ml、周期は21〜32日で安定している

これらが整っていない場合は、食生活の見直し・睡眠不足の改善・ドーシャのバランス調整が必要であると述べています。

海外でのアーユルヴェーダ実践例(デンマーク・スリランカ)

ディネッシュ医師は、スリランカだけでなく、デンマーク・ドイツ・日本などでもアーユルヴェーダの指導に携わってきました。特にデンマークでは、「女性のセルフケア」に関心が高く、生理中にアーユルヴェーダを実践する女性が年々増えているそうです。

たとえば、以下のような事例が紹介されています:

  • 生理1週間前からコリアンダーティーを毎日飲み、痛みの緩和に成功した40代女性
  • 生理中に布ナプキンとギーの温湿布を組み合わせて使うことで、PMSのイライラが激減した30代女性
  • 毎晩のセサミオイルマッサージとヨガの呼吸法で、月経周期が安定した50代前後の更年期女性

これらの事例からも分かるように、アーユルヴェーダのシンプルな実践が、年齢や国籍を超えて効果をもたらしていることがわかります。

よくある質問|生理とアーユルヴェーダに関する疑問解消

生理中のケアをアーユルヴェーダで行うにあたり、「これってどうなの?」「このタイミングは大丈夫?」といった疑問を感じる方は少なくありません。ここでは、実際によく寄せられる質問に対して、アーユルヴェーダの理論と実践の両面から丁寧にお答えしていきます。

生理中にギーは摂っていいのでしょうか?

はい、ギーは生理中でも安心して摂っていただけます。むしろ、ヴァータを鎮めて体を内側から潤す作用があるため、アーユルヴェーダでは非常におすすめの食材です。

ただし、摂り方にはポイントがあります。たとえば、温めたミルクやお粥に小さじ1程度を加えることで、消化の負担も少なく、体を温めながらエネルギー補給ができます。ギーの良質な脂質はホルモンバランスの安定にも役立ちますし、冷え性や便秘が気になる方にも効果的です。

なお、胃がもたれる感覚があるときや、ピッタ体質の方で暑い季節の場合は、量を調整するなどの工夫が必要です。

パンチャカルマは生理中に受けてもいいですか?

パンチャカルマ(アーユルヴェーダの浄化療法)は、身体に大きなエネルギーを使うデトックス法であるため、生理中には実施しません。

生理中はすでに体が「浄化モード」に入っており、月経を通して自然に毒素(アーマ)を排出しています。そこへさらに強い浄化刺激を加えると、エネルギーの使いすぎで体が回復しにくくなったり、ドーシャの乱れを助長したりするリスクがあります。

パンチャカルマを受ける際は、生理終了から3〜5日以上経ってからがベストです。そのタイミングであれば、体もエネルギーを蓄えており、浄化の効果をより高めることができます。

経血量が多い人はどうケアしたらいい?

経血量が多い、あるいは出血が止まりにくいという場合は、ピッタの過剰(熱の乱れ)が関係している可能性があります。

このような方には、次のようなケアが有効です:

  • ピッタを鎮める食事:辛味・塩味・揚げ物・アルコールを控え、苦味や甘味(自然なもの)を多めに
  • アムラやコリアンダーを取り入れる:体の熱を冷ますことで内側から整える
  • 湯船での入浴を避ける:温まりすぎると出血量が増えるため、シャワーのみにする
  • ヨガの逆転ポーズを控える:血流が逆流しやすくなるため避ける

また、感情の爆発(怒り・焦り)もピッタを増幅させるため、冷静さを保つマインドフルネスの実践や、香りの穏やかなアロマ(ローズ、サンダルウッドなど)も取り入れると良いでしょう。

体質診断はどこでできますか?無料でも信頼できる?

体質診断(プラクリティ診断)は、オンライン上で簡単に受けられるサービスがいくつかあります。たとえば、英国アーユルヴェーダカレッジが提供している「3分体質診断」などは、基本的な体質傾向(ヴァータ・ピッタ・カパの割合)を把握するのに便利です。

ただし、あくまでも簡易的な診断なので、より詳しくに知りたい場合は、アーユルヴェーダ入門セミナーを受けることをおすすめします。さらに、信頼できるアーユルヴェーダドクターによるオンラインカウンセリングが増えてきており、体質に合わせたオイルや食事のアドバイスを受けることができます。

痛みが強い時に病院との併用はOK?

もちろんです。アーユルヴェーダは「病院を否定するもの」ではありません。むしろ、必要な場面では現代医学の力を借りることも、非常に理にかなった選択です。

アーユルヴェーダは、予防や体質改善を重視する医学であるため、「日常をどう整えるか」が基本のアプローチです。しかし、痛みが強くて生活に支障が出る場合や、出血が異常に多い・止まらないといったケースでは、産婦人科を受診することが最優先です。

その上で、アーユルヴェーダ的な食事・休息・呼吸法を取り入れることで、薬に頼らなくてもよい体づくりを少しずつ目指していく。そんな「両輪でのセルフケア」が、今の時代に最も現実的で持続可能なスタイルだと言えるでしょう。

アーユルヴェーダの良さは、正解を押しつけないこと。そして、その人の体質・生活・心の傾向に合わせた“ゆるやかな最適解”を探していくところにあります。

疑問や不安をそのままにせず、「自分の体ともっと仲良くなりたい」という気持ちがあれば、アーユルヴェーダはきっと優しく寄り添ってくれるはずです。

生理痛や生理不順に悩まされると、「毎月が憂うつ」「自分の体がわからない」と感じてしまうこともあるかもしれません。でもアーユルヴェーダの視点に立つと、生理は“体が本来のバランスを取り戻そうとする自然なサイクル”でもあります。体質や生活に合わせた少しの工夫やケアを積み重ねることで、痛みや不快感は確実にやわらぎ、体と心のリズムを取り戻すことができます。

大切なのは、自分を責めずに、やさしく観察し、寄り添うこと。あなたの体は、いつだってあなたの味方です。

アーユルヴェーダの知恵が、あなたの毎月を少しでも心地よくするヒントになりますように。

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ライター&編集担当

アーユルヴェーダセラピストmisaki
misaki (Instagram)
東京都出身。気になることはすぐ確かめたくなる好奇心旺盛のヴァータ体質。
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コロナ禍での体調管理をきっかけにアーユルヴェーダに出会う。自律神経の乱れやPMSなど、それまで悩んでいた不調にも対処できることがわかり、学びを深める。知識が増えるにつれ体調を崩すことが激減。身体が弱いと思っていたがセルフケア不足だったことに気づく。
現在は自分の体の変化を楽しみながらアーユルヴェーダを実践中。
おだやか、ていねい、マイペースな人生を送ることが目標。

英国アーユルヴェーダカレッジ56期卒業
アーユルヴェーダビューティーセラピスト/ライフカウンセラー

  • メルマガ「脳暦だより」登録
  • 作者「石井泉」アーユルヴェーダ入門書
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