TOP > 108のヒント > 人間と宇宙は同じ(3)〜白湯を飲む〜 ヒント9

季節の変化の影響を調整する方法をかきました。

季節に応じて生活を工夫する

ヒント8では、1日の時間帯ごとに変化するエネルギーの巡りに合わせて、睡眠と起床のリズムを調律する知恵についてお話ししました。
こうした宇宙や自然からの影響は、1日という短いサイクルの中だけにとどまりません。私たちは季節の移り変わりとともに、1年という大きな周期を通じても、常にその影響を受けながら生きています。

そのため、アーユルヴェーダには1日の理想的な過ごし方(ディナチャリア)だけでなく、「季節の過ごし方(リトゥチャリア)」という確立された健康増進法が存在します。季節の巡りに伴って自然界で高まるエネルギーが変わるため、それに応じて私たちが日常生活で気をつけるべきアプローチも変化していくのです。

今回は、本格的な梅雨から本格的な夏へと向かう「今」の季節を例に挙げ、私たちがどのように心身の調和を維持すればよいのか、その具体的なヒントを紐解いていきましょう。

白湯 アーユルヴェーダの智慧

なぜ、梅雨から夏への変わり目に不調が起こるのか

梅雨から夏にかけての季節は、アーユルヴェーダの理論において非常に複雑なエネルギーの変動が起こる時期とされています。
まず、長引く雨と湿気によって、私たちの身体には「カパ(水と地のエネルギー)」特有の重だるさやむくみが蓄積しやすくなります。それと同時に、気温の上昇とともに「ピッタ(火のエネルギー)」という熱の性質も少しずつ高まり始めます。

「エネルギーが高まる」と言われると、一見するとポジティブな印象を受けるかもしれません。しかし、アーユルヴェーダにおいて特定のエネルギーが増えすぎる(増悪する)ということは、全体の美しいバランスが崩れ、心身に不調を招きやすい不安定な状態になることを意味します。

アーユルヴェーダには、「同質のものは同質を増やし、異質のものはそれを鎮静する」という大原則があります。もし特定のエネルギーが増えすぎてバランスを崩している場合は、そのエネルギーが持つ性質と「真逆の性質」を持つ行動や食事を心がけることによって、心と体の平穏を維持できると考えます。

この時期に最も気をつけなければならないのは、外側の「湿気」や「暑さ」に対抗しようとして、私たちが無意識のうちに内側を「冷やしすぎてしまう」ということです。

暑さをしのぐために冷たい飲み物や食べ物を頻繁に摂ったり、エアコンの効いた部屋に長時間身を置いたりすることは、私たちの体内にある「アグニ(消化の火)」を一気に弱めてしまいます。梅雨時の重だるさに加え、お腹の中が冷えて消化力が落ちることで、夏を迎える前に早くも「夏バテ」のような慢性的な疲労感を抱えやすくなってしまうのです。

1日中、こまめに白湯を飲むという養生

外側の熱気や湿気に振り回されず、内側の消化の火を健やかに保つために、最もシンプルで効果的な生き方のヒントとしておすすめしたいのが、「1日中、こまめに白湯(さゆ)を飲む」という習慣です。

白湯とは、一度しっかりと沸騰させた水を、適温(心地よくすすれる温度)まで冷ました温かいお湯のことです。
「暑い季節にわざわざ温かいものを飲むのか」と思われるかもしれません。しかし、一度沸騰させるプロセスを経た白湯には、アーユルヴェーダにおけるクリーンな「火」のエネルギーが補われており、体内へと自然に浸透して内臓を内側から優しく温める特性があります。

冷たいものの摂りすぎで低下しがちな消化力を回復させ、胃腸の働きを活性化することで、身体に溜まった余分な水分や未消化物(アマ)の排出を促してくれます。また、温かい飲み物を口に含み、ゆっくりと喉を通していくとき、人間の身体からは自然と余計な緊張が抜け、心も落ち着きます。

朝一番だけでなく、日中も水筒やタンブラーなどに入れて持ち歩き、1日を通してこまめに少しずつ白湯を口に含む。これだけで、冷房や冷飲食で冷えがちな心身を内側から守り、巡りを整えていくことができます。

嗜好品との付き合い方を少しだけ見直す

白湯を生活のベースにする一方で、日常の小さな引き算にも目を向けてみましょう。
皆さんの中には、すっきりとするためにアイスコーヒーなどをよく飲むという方もいらっしゃるかと思います。しかし、コーヒー豆はもともと「体を冷やす」働きを持っていることに加え、冷たい状態で飲むことでお腹の火(アグニ)をさらに弱めてしまう側面があります。また、カフェインの強い刺激は、夏に向けて高まりやすいピッタ(火)のイライラや神経の緊張を助長することもあります。

コーヒーが好きな方であれば、完全に断つ必要はありません。ただ、冷えやだるさが気になるこの季節だけでも、飲む量を少しだけ減らしてみる、あるいはアイスからホットに変えたり、代わりに白湯を飲む回数を増やしてみるといった微調整を行うだけで、体調の安定感は驚くほど変わってきます。

大宇宙がもたらす季節の巡りを拒むことはできませんが、私たちの選択次第で、その影響を優しく受け流し、小宇宙である自分自身を心地よく保つことは十分に可能です。

今日からマイボトルに温かい白湯を忍ばせて、夏の準備のための養生を始めてみませんか。季節の変わり目に揺らぎがちだった心と体が、内側からしゃっきりと安定していく心地よさを、ぜひ感じてみてください。

【今日の一言】

外の暑さや湿気に惑わされず、お腹の中には温かな火を。1日中こまめにすする一杯の白湯が、夏を迎える心身の確かな土台を作ります。

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