ヴァータのエネルギーが乱れる要因とその具体的な対処法について書きました。
目次
環境や習慣の偏りから起こる「ヴァータ」の増悪
これまでのヒントで、私たちの心と体は「ヴァータ(運動)」「ピッタ(消化・変換)」「カパ(結合)」という3つのエネルギー(ドーシャ)のバランスによって成り立っているとお話ししました。今回は、その中からまず「ヴァータ」のエネルギーに焦点を当て、それが乱れる要因と具体的な対処法について詳しく解説していきます。
ヴァータは「風」や「空」の要素からなり、「冷・乾・軽・動(不安定)」という性質を持っています。生まれつきヴァータの質を多く持つ「ヴァータ体質」の人はもちろん、そうでないタイプの人であっても、日々の環境や生活習慣によっては、このヴァータのエネルギーが過剰に増えて(増悪して)バランスを崩してしまうことがあります。
一般的にヴァータは、寒さと乾燥が進む秋冬の季節に最も乱れやすいとされていますが、実はエアコンによる冷えや冷たい飲食の摂りすぎ、あるいは寝苦しさによる睡眠不足が続きやすい「梅雨から夏」の時期にも、体内で非常に増えやすくなるため注意が必要です。私たちの日常において、軽くて冷たく、動きのあるヴァータを過剰に増やしてしまう主な要因には、次のようなものがあります。

身体を冷やすこと
エアコンの効きすぎた室内に長時間いたり、薄着で過ごしたりすることは、ヴァータの「冷」の性質を直接的に高めてしまいます。
不規則な生活
夜更かしや睡眠不足、食事の時間が毎日バラバラであるといった不規則さは、ヴァータの「動(不安定)」の性質を刺激し、自律神経の乱れを招きます。
タバコ、アルコール
これらは微細な循環経路を収縮させるだけでなく、特にアルコールは利尿作用によって体内の水分を奪うため、ヴァータの「乾(乾燥)」の性質を急速に進行させます。
乾燥食品、冷凍食品やレトルト食品
スナック菓子やドライフルーツ、加工プロセスを経た冷凍食品などは、水分が失われて「乾性」や「軽さ」が増しているため、胃腸を乾燥させてヴァータを増やします。
生野菜、生の食品
生のサラダや冷たいスムージーなどは、とりすぎるとお腹の消化の火(アグニ)を弱め、内臓から身体を冷やす原因になります。
辛味、苦味、渋味の強い食べ物
唐辛子などの刺激物、生の豆類、コーヒーや一部の緑黄色野菜などは、アーユルヴェーダにおいてヴァータを増やす味付け(ラサ)に分類されるため、過剰な摂取は禁物です。
ヴァータ体質の方は、ご自身の普段の暮らしの中で心当たりがある項目がいくつかあったのではないでしょうか。また、ヴァータ体質でない方であっても、こうした生活習慣や食生活が積み重なると、体内のヴァータが増大して心身の天秤が傾き、便秘、皮膚の乾燥、関節の痛み、あるいは不眠や不安感といった不調に繋がりやすくなります。
「温・油・重・安定」を取り入れてヴァータを鎮める
増えすぎてしまったヴァータのエネルギーを落ち着かせ、本来の心地よいバランスを取り戻すためには、その性質と正反対である「温(温かさ)」「油(潤い)」「重(重さ・落ち着き)」「安定(規則正しさ)」を日常に意識的に取り入れることが効果的です。身体の奥に「重り」を置いて、風で飛ばされないように安定させるイメージを持つと分かりやすいでしょう。具体的には、以下のようなセルフケアの方法があります。
・入浴する(バスタブに浸かる)
シャワーだけで済ませず、40度前後の心地よい湯船にしっかりと浸かって身体を芯から温めます。温かいお湯に包まれることで、ヴァータの「冷」と「動」が一気に緩和されます。
・規則的な生活を心がける
毎日できるだけ同じような時間に食事をとり、夜は早めに寝てしっかりと睡眠時間を確保します。「いつも通り」というリズムを作ることが、ヴァータの持つ不安定さを鎮める最大の特効薬です。
・オイルマッサージ(アヴィヤンガ)
セサミオイル(ごま油)などの人肌に温めた植物オイルを使って、全身や耳、足の裏などを優しくマッサージします。オイルが持つ「温・油・重」の性質と、ゆったりと自分を労る時間が、皮膚を通じてヴァータの過剰な動きを穏やかに静めます。
・発汗療法
お風呂やよもぎ蒸し、サウナなどで心地よくじんわりと汗をかくことで、体内の巡りを良くし、ヴァータの「乾」の性質を和らげて皮膚や筋肉を潤します。
・甘味・酸味・塩味の温かい食べ物を選ぶ
身体を内側から温め、しっかりと滋養を与えてくれる食事を選びます。具体例としては、炊きたてのお米(穀物)をはじめ、スープやみそ汁、適度な油分(ギーなど)を含んだ煮込み料理が最適です。また、お酢、梅干しや漬物、お醤油や味噌など、発酵調味料の「酸味」や「塩味」を適度に取り入れることも、ヴァータを優しく落ち着かせてくれます。
実践できる小さな引き算と足し算から始める
現代の慌ただしいライフスタイルの中で、これらすべてを一度に完璧に実践しようとする必要はありません。あれもこれもと詰め込んで焦ってしまうこと自体が、移動や変化を好むヴァータの性質をさらに刺激してしまう原因になるからです。
まずは「今夜はシャワーで済ませず、お気に入りの入浴剤を入れて湯船にゆっくり浸かってみよう」「冷たいサラダを食べる代わりに、温かい温野菜スープを選んでみよう」といったように、今の自分が無理なく実践できそうな、小さな生活の選択から始めてみてください。
日常の小さな引き算と足し算を積み重ねていくことが、あなたの内側にある風のエネルギーを穏やかに整え、芯からの落ち着きと健やかさをもたらしてくれます。
【今日の一言】
そわそわして集中できないときや、身体の冷え・乾燥を感じるときは、あなたの小宇宙でヴァータ(風)が強くなっているサインです。温かいお風呂に浸かり、温かく滋養のあるものを食べ
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