現代医学とは異なる理論で、人間の体と心を洞察していく、アーユルヴェーダ。当スクールでは、そのアーユルヴェーダの理解を深めるために、現代医学の基礎になっている解剖生理学もあわせて学んでいきます。
一見難しそうに見える解剖生理学。身体がいかにうまくできているかが分かって、改めて、自分の体を大切にしていこうと思いました。
解剖生理学とは?
解剖生理学とは、「解剖学」と「生理学」のことです。
- 解剖学とは
体の構造と位置関係を知る学問です。例)骨格や内臓の位置、細胞の構造など - 生理学とは
体の中でどのような機能が働いているかを知る学問です。例)骨の機能、消化器の機能など
解剖学と生理学は互いに密接に関係しているため、解剖生理学として一緒に学びます。
解剖生理学を学ぶメリット
- 自分自身の体をメンテナンスできるようになる
解剖生理学を学ぶことは、すなわち自分の体のことを学ぶことです。体のメカニズムを知ると自分自身をメンテナンスできるようになります。 - アーユルヴェーダの理解が深まる
アーユルヴェーダを学ぶ上でも、細胞レベルでヴァータ、ピッタ、カパが働き生命を支えていることを確認できるようになり、理解が深まります。 - セラピストとしての質が上がる
骨や筋肉の付き方を知ることでより適切なマッサージをすることができます。また、お客様に何かアドバイスをするときにも科学的根拠をもって説明できるため、安心していただけます。
授業内容
解剖生理学の授業では、次の内容を学びます。
- 人体
- 細胞と組織
- 筋系
- 骨系
- 循環器系
- リンパ系
- 消化器系
- 呼吸器系
- 泌尿器系
- 内分泌系
- 神経系
- 生殖器系
- 感覚器系
私たちのクラスでは、理学療法士として幅広く活躍されている井上航先生が分かりやすい言葉や例え、実際の事例などを使いながら丁寧に説明してくださいました。
説明を聞くだけではなく、実際に体を動かして骨や筋肉、三半規管などの働きを確認したり、生活に取り入れやすい簡単で効果的なエクササイズをしたり、楽しく実践的に学ぶことができます。
とはいえ、こんなにたくさんの内容を勉強するのは大変と思うかもしれません。確かに範囲が広いですが、最低限覚えるべきポイントについて授業で説明がありますので、まずはそこを押さえていくと混乱しません。
井上先生の穏やかでありながら生き生きとしたお話を聞いて、むしろもっと解剖生理学を学びたいという気持ちになったクラスメートばかりでした。
実生活で活きる解剖生理学
体に良いことだと分かっていても、なかなか続けられないことはありませんか。例えば、よく噛んで食べることや、夜遅くにスマートホンやテレビの画面を見ないこと。解剖生理学を学ぶと、それらの行動が体のどの部分にどのように影響するか、その結果どのような効果があるかを理解できるようになります。
よく噛むことのメリット
よく噛んで食べると何が起こるのでしょうか。消化酵素を含む唾液がたくさん分泌され、細かく砕かれた食べ物とよく混ざり、口の中で消化が進みます。
唾液には口腔内の潤いを保ち感染症を防いだり、咀嚼や嚥下をしやすくしたり、粘膜の保護や歯を浄化する役割もあります。健康な歯があると力を入れやすく、年をとっても筋力を保ちやすくなります。
また、よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べすぎを防ぎます。逆によく噛まないと、満腹中枢が刺激される前に食べ物が大きな塊のまま、どんどん食べ物を胃に流し込むことになり、消化不良を起こしたり、唾液があまり分泌されず喉に詰まらせたり、口腔環境が悪くなったりします。口腔環境の悪化による歯周病や虫歯が原因で嚙み合わせが悪くなると、姿勢にも影響し、腰痛や肩こりにつながります。
質の良い睡眠をえるために
夜遅くにスマートホンやテレビの画面を見ない方が良いのはなぜでしょうか。
ヒトは目から取り入れた光の量によって、メラトニンの分泌量を調整しています。メラトニンは睡眠や体内時計に関与しており、強い光の元ではメラトニンの分泌が減り、目が覚めます。そして目覚めてから約15時間後に再び分泌されます。その作用で体温が下がり眠気を催します。
夜、強い光を見ると脳が日中であると勘違いし、メラトニンが分泌されず眠りが浅くなります。その結果、十分な休息を取れず翌日も疲れが残っている状態になります。
「寝ると病気の半分は治る」アーユルヴェーダのドクターも繰り返し言っていましたが、質の良い睡眠は健康に欠かせません。私はこのことを知ってから、なるべくスマートホンなどを見る用事は早い時間帯に終わらせ、寝る前は明るすぎない部屋で家事やリラックスの時間に充てるようになり、実際によく眠れるようになりました。
メカニズムを知るとやる気がでる
このように、ただ「こうした方が良い」と言われるよりも、メカニズムを理解することで、モチベーションを上げることができます。解剖生理学で学んだことを自分の体で実験し、効果がでるとまた他のことも試したくなってきます。
こうして楽しみながら自分の体をメンテナンスしていった経験は、セラピストとしてお客様の悩みにアプローチするときにも役に立ちます。
アーユルヴェーダの理論を学べば、解剖生理学まで学ぶ必要がないと思う方もいらっしゃるかもしれません。アーユルヴェーダは医学であり、解剖生理学を学ぶことで、アーユルヴェーダの理解をさらに深めることができます。また、学べば学ぶほど自分自身の体を適切に扱うことができるようになり、知識と経験に裏付けされた安心感のあるセラピストを目指すことができます。
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ライター&編集担当
ちさと
神奈川県出身。やりたいことが多すぎてついつい予定を詰め込みすぎてしまうヴァータ体質。
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貧血をきっかけに英国アーユルヴェーダカレッジに入学。3ヶ月実践コースと総合プロコースを受講していくなかで、それまで努力してもなかなか良くならなかった貧血がみるみる改善し、アーユルヴェーダの奥深さに魅了される。
クラシック音楽、お菓子作り、旅行が好き。