新型コロナウイルス感染予防ガイドライン

旬の食材でドーシャの乱れをトトノエル~夏の暑さに備える~

The College of Ayurveda

TOP > スタッフブログ > 旬の食材でドーシャの乱れをトトノエル~夏の暑さに備える~

あっという間に6月になりました。今年はすでに梅雨入りしている地域もあるようですね。梅雨が明けると暑い夏がやってきます。夏が苦手な私は来たる暑さに備え、まだ余力のあるうちにと、好奇心からいつもと違うデトックス法に取り組んでいます。取り組んでみて感じた事は「やっぱりアーユルヴェーダはよく出来ている」ということ。今回は、夏の不調から心身を守る食事法や生活の中で気を付けるポイント、そして夏の疲れを感じたときにおすすめしたい「疲労回復スープ」の作り方をご紹介します。

太陽の力が一年で最も強くなる夏

夏に向かい気温が上昇するにつれて、私たちの体の中では、冬から春にかけて増えた、重たく水気を含んだカパは排出され、代わりに軽さや乾燥といった性質を持つヴァータ、太陽の性質とよく似た熱性を持つピッタが徐々に増えていきます。
ヴァータは乾燥の性質、ピッタも熱によって何かを乾かすという性質をもっているため、夏になると人間の体から水分が減ります。体感としても、夏は汗をかいたり、日に焼けたりと何となく「乾き」をかんじやすいのではないでしょうか。
体の中から水分が減るということは、体内を循環する水分「体液」が減るということです。体液は酸素や栄養を細胞に届けたり、老廃物を排泄したりという役割があるため、体液が減ると、これらの働きが弱くなってしまいます。夏に疲れや不調を感じる一因は、酸素や栄養が十分に届かなかったり、老廃物がうまく排泄されないからです。

夏に出やすい不調とドーシャの関係

皆さんは、毎年夏になるとどのような不調を感じやすいですか?!夏に出やすい不調とドーシャの関係について少しまとめてみます。

ピッタ的な不調の例

ピッタのアンバランスによって出やすい不調には以下のようなものが挙げられます。
・肌や身体が火照る
・眼や肌などに炎症が出る
・些細なことでイライラする
・食べ始めると勢いづいてつい食べ過ぎてしまう
体や心に良くない熱感や鋭さが出ているときは、ピッタがアンバランスになっているサインです。

ヴァータ的な不調の例

次に、ヴァータのアンバランスによって出やすい不調は以下の通りです。
・夏バテになって体重が減少
・すぐ疲れる
・食欲や気分にムラがあり食事や睡眠を疎かにしがち
・冷えている(冷房の強い環境に長くいることも含む)
「軽さ(減少)」「乾燥」「冷たさ」という性質を持つ不調が体や心に表れやすくなります。

夏の食事で気を付けるポイント

ピッタのアンバランス時とヴァータのアンバランス時では、気を付ける細かなポイントは異なってくるのですが、共通して大切なのが【辛味・乾性・熱性】のものを控えることと、消化に負担のある食べ物を控えることです。
夏はカレーだ!バーベキューだ!と楽しみにしてらっしゃる方、「え、ダメなの?」と気を落とさないでください。食べてはいけないという意味ではなく、各々の体質やその時々の状態によって摂り方に注意が必要という意味です。

ただし、夏バテを感じているからスタミナをつける為に焼肉!はどなたにもNG です。体力・消化力が下がっている時に消化に負担がかかるものを食べることで、それは栄養ではなくアーマ(毒素)となって体内に溜まり、疲労回復が遅れ更に体力も低下するという悪循環を引き起こすからです。

そして、もう一つポイントを挙げるとすれば、夏になってから対策をするのではなく、本格的に暑くなる前に夏の基本をおさえて、不調を予防しておくことが大切です。

今が旬のアスパラガスで夏の不調予防

季節的な不調を乗り切る食事法として、毎回「旬」のものをシンプルな調理法でいただくことをおすすめしていますが、今回も例にもれず、やはり旬のものを。今回は5月から6月に旬を迎えるアスパラガスです。約90% は水分なので三大栄養素はあまり含まれていませんが、他の食べ物では摂りづらいビタミンやミネラルが豊富かつそのバランスが良い為、あれこれサプリメントや栄養ドリンクを試す前にまず食卓に取り入れてほしい野菜の一つです。

アーユルヴェーダとアスパラガス

穂先にはオージャス(生命力の源)が詰まっており、ヴァータ・ピッタ・カパ3つのドーシャを整える効果、疲労回復、免疫力を高める、滋養効果が高いと言われています。婦人科系の問題がある方にもよく薦められる食べ物とも学びました。
同じ属で根っこを使うシャタバリは「100人の夫を持つ女性」との異名を持つ若返りのハーブのひとつでもあります。

アスパラガスに含まれる栄養素

アスパラギン酸

栄養ドリンクに含まれる成分としてもお馴染みのアスパラギン酸。エネルギー生成を促進し代謝を活発にする作用やアンモニアの解毒排出作用があり、疲労回復やスタミナ増強に効果のあるアミノ酸の一種です。カリウムやマグネシウムなどのミネラルを細胞内に運ぶ働きもしてくれる為、むくみ対策にも役立ちます。

ルチン

蕎麦に多く含まれることでも知られていますが、じつはアスパラガスの穂先にも多く含まれているポリフェノールの一種。ビタミンC の吸収を促進する他、弾力性のある毛細血管に取り替える働きがあり、血流改善作用がある為、血管や血流の問題による生活習慣病(心臓疾患や脳卒中、動脈硬化や高血圧など)の予防にも効果があると注目されています。

サルサポゲニングリコシド

この早口言葉のような長い名前の栄養素ですが、免疫細胞(T 細胞)を活性化し抗菌・抗ウイルス・抗腫瘍作用なども報告され近年注目されています。

これらの他にも、他にも強力な抗酸化物質であるグルタチオンが多く含まれていたり、じつは野菜類トップクラスに入るほど葉酸が含まれていたり、ビタミン B12 となり造血作用に働き、貧血を予防するコバルトや粘膜の維持に関わるビタミン B2 、腎機能や肝機能の改善や自律神経の機能を正常に保つことに役立つ GABA なども含まれています。

今月のレシピ➀「アスパラガスの疲労回復スープ」

【材料】(1人前)

アスパラガス 2~3本
にんじん 小1本
新じゃがいも 1個
新玉ねぎ麹(レシピ➁で紹介) 大1弱
200cc
オリーブオイル 約大1
クミンシード&フェンネルシード 各ひとつまみずつ
ハトムギパフ(あれば) 適量

【作り方】
1. 野菜を 1cm 角くらいに切る(だいたいで大丈夫です)

2.鍋に油を熱しスパイスを加え香りが立ったらにんじんと新じゃがいもを加えさっと炒める

3.水と玉ねぎ麹を加え蓋をし弱火で 20 分位煮る(よく煮たにんじんはヴァータを鎮静させます)

4.柔らかくなったらアスパラを加えサッと火を通す

5.器に盛り、あれば仕上げにハトムギをトッピングする

※ハトムギパフは体内の水分の浄化や巡りを良くしてくれるので、むくみ対策にもおすすめです。

今月のレシピ➁「新玉ねぎ麹」

【材料】(作りやすい分量)

★新玉ねぎ 1~2個(360g)
★棗 3~5個(30g)
乾燥米麹 ★の半量(195g)同量の水で戻してから使用
岩塩 総量の8~10%(今回は8%63gで作りました)

【材料の計量の仕方】
1.皮を剥いた玉ねぎと種を抜いた棗の重さを計る(今回は 新玉ねぎ360g、棗30gで計390g)
2.米麹の量を決める( 1. の半量=今回は195g)
3.米麹と同量の水を用意する(今回は195cc)
4.塩の量を決める。(総量の8〜10% 。今回は約8%で63g)
【作り方】
1.水を 60 度くらいのぬるま湯にし、乾燥米麹と混ぜ合わせ2時間ほど置いて戻す
※保温できる水筒や炊飯器などを使うとムラなく戻しやすいです

2.1以外の材料を全てフードプロセッサーにかける。フードプロセッサーが無い場合は玉ねぎは擦りおろし、棗は細かく刻んで混ぜ合わせる

3.1と2を混ぜ合わせ、清潔な容器に移し替える

4.1日1回かき混ぜて1 週間から10日で完成

調理の際のポイント

新玉ねぎは水分が多いので水を加えず乾燥麹のままでも作ることができますが、ヴァータ・ピッタ対策として考えると生麹の状態に戻してから使うこと推奨。個人的な体感としては、パッケージ裏に書かれてある水分量の倍くらい(今回の分量)が発酵食品を摂りすぎ注意のピッタ対策においてもちょうどいいバランスかと思います。ヴァータが強い人(とにかく疲れやすい人や睡眠に問題がある人など)は棗を多めに入れることや、塩をしっかり入れることもおすすめです。スープの素として使うだけでなく、オイルと混ぜてドレッシングやソースとして、お肉やお魚を食べる人は漬け込みダレにするのもおすすめです。コンソメ代わりに使えるので何かと重宝しますよ。

最後に

栄養素について知ることは、アーユルヴェーダの教えの理解を深める上でも役に立ちますが、実際に食生活に活かす時には、囚われすぎないことの方が大事だったりします。なぜなら、私達が食べているのは「栄養素」ではなく「食べ物」だからです。スーパーマーケットに行ってどの野菜が美味しそうか厳選する人はいても、栄養素の売り場を探す人はいないでしょう?新鮮で美味しい野菜を見つけられるようになると、手の込んだ調理をしなくても食卓が豊かになるので皆さんにお勧めします。ちなみに、アスパラガスは穂先が締まっていて茎の色が濃く張りがあり太っちょなもの、切り口が緑色で水々しく綺麗なものを選ぶと鮮度が良く美味しいですよ。

総合プロコースの詳細はこちらからどうぞ
>>総合プロコース

個別無料説明会の詳細はこちらからどうぞ
>>山田泉の個別無料説明会

ライター&編集担当

アーユルヴェーダセラピスト尾下弥々
尾下 弥々
愛媛出身、大阪在住。ハマったらとことん!美味しいものと楽しいこと美しいものが好き、極力体力消耗したくないヴァータ強めのインドア派。
尾下弥々 記事一覧へ意外と地道にこつこつタイプです。元々自炊は苦手。
アーユルヴェーダと栄養学を学んでから、体質や体調、季節にあったものを選ぶだけで勝手に栄養バランスも取れることに気付き、すごくシンプルな食生活となり、おうちごはんも楽しめるようになりました。歳を重ねるごとにより快適により楽により良く美しくなる、そんな穏やかで豊かな人生を送る「智慧」を独り占めせず、ひとりでも多くの人に届けられる人で在りたいです。

英国アーユルヴェーダカレッジ認定 アーユルヴェーダビューティーセラピスト/ライフカウンセラー

日々の食事等はInstagramに載せてます

  • ★当スクール校長 山田泉著★

    自分力を上げる!アーユルヴェーダセラピスト必読の一冊
  • アーユルヴェーダ・プロフェッショナル・スクール
  • アーユルヴェーダ入門セミナー
  • アーユルヴェーダ体質診断テスト
  • アーユルヴェーダサロンナビ
  • 「山田泉」BLOG
  • 「スタッフ」BLOG
  • オイルトリートメントを受けたい方はこちら
  • メルマガ「脳暦だより」登録
  • 【英国アーユルヴェーダカレッジ】事務局・アクセス
  • 作者「石井泉」アーユルヴェーダ入門書
  • アーユルヴェーダSHOP
  • 【通信講座】アーユルヴェーダセミナー
  • AYURCARE.JP(アーユルヴェーダ総合サイト)