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旬の食材でドーシャの乱れをトトノエル~夏バテ対策編~

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7月30日は土用の丑の日です。この日に鰻を食べる風習が定着したきっかけは丑の日は「う」から始まるものを食べると縁起が良いだとか、鰻は秋冬が旬だから夏の売上低迷を打破するために鰻屋さんが行ったマーケティングだとか諸説ありますが、湿度も気温も高くなるこの時期は体調を崩しやすいので、精がつく(栄養価が高い)ものを食べて回復させようといった考え方が一般的なのではないかと思います。

しかし、アーユルヴェーダでは「精がつくもの」についての考え方が異なります。いくら栄養価が高いものを食べたとしても、自身の消化力が伴っていなければそれは栄養になるどころか、アーマ(未消化物)として、体に残り、それが不調の種となってしまいます。ちなみに、夏バテしているということは、エネルギーや消化力が低下している状態なので、アーユルヴェーダ的に考えると、夏バテしている時に精がつく食べ物はあまりふさわしくないということになります。

アーユルヴェーダ的、夏バテした時の食事法

では、アーユルヴェーダ的には、夏バテした時にどういった食事内容をすすめているのか?
まずは、先ほどもお話したように、鰻のような「スタミナがつきそうな食事」や「こってりとしたもの」「ボリュームがある食事」は控えるようにします。

人間というのはエネルギーの多くを消化に費やしています。消化というと、胃腸だけで行われているイメージですが、実は全身の機能が相互に関係しあって行われているため、かなり疲れる行為なのです。分かりやすい例を上げると「食べ過ぎた後、動きたくなくなる」とか「お腹いっぱい食べてしまって、午後仕事がはかどらない」ということがあると思うのですが、これは、消化に多くのエネルギーが使われた結果、ほかのことにエネルギーがまわらない、または消化で体力が奪われてしまっているのです。

ですから、ただでさえ疲れた状態である夏バテの時には、消化に負担のかからない食事を摂るようにします。例えば、これまで何度もご紹介している旬の野菜を使ったスープも本当におすすめですが、スープのレシピばかりなのも面白くないと思いますので、今月は夏バテの時でも食べやすく、消化にも優しい『加賀太きゅうりの蕎麦の実餡かけ』をご紹介します。

きゅうりの栄養素

96%が水分で 5 大栄養素はほとんど含まれていません。強いていうならカリウムが含まれており、夏のむくみの改善を助けてくれます。それよりも、注目すべきは水分の多さです。暑いと、ついつい水をガブガブ飲んでしまいがちですが、あまり飲み過ぎると消化液が薄まって消化機能が低下してしまうので、単に水を飲むことで体内の水分を補うのではなく、水分の多く含まれる食材から水分を補うことが大切です。そういった意味では、きゅうりの水分は消化を妨げることなく潤わせてくれるので夏の名脇役といえるでしょう。

また、きゅうりはアーユルヴェーダでは「冷性」の食材に分類されます。身体を冷やしてはいけないと特に女性は耳にタコができるほど聞いてきたかと思いますが、熱がこもりっぱなしなのもよくありません。その際に取り入れたいのが「冷性」の食材です。氷でキンキンに冷やすといった「物理的な冷たさ」は過度に身体の熱を奪う可能性がありますが、「冷性」の食材は「冷やす」というよりは「余分な熱を取り除く」ことをしてくれるため、身体に熱をこもりにくくする、またはこもった熱を取り除いてくれるという働きがあります。

ちなみに、あまり馴染みのない食材の「冷性」「温性」といった考え方について、簡単にお伝えすると夏野菜や暑い地域で良く育つものは冷性のものが多く、冬が旬の野菜や寒い地域で良く育つものには温性のものが多いです。もう一つ分かりやすいのは味です。甘味・苦味・渋味のものは冷性の質を持ちます。

キュウリ以外だとこの時期によく見かけるスイカ、ピーマン、ゴーヤ、ミントなども「冷性」です。こうしてみると旬って本当によくできているなぁと感じます。

今月のレシピ「加賀太きゅうりの蕎麦の実餡かけ」

【材料】

加賀太きゅうり 1/2本
出汁(昆布や干し椎茸などお好みで) 約250mL
醤油 大1
みりん 小2
甜菜糖 小1
大葉 2~3枚
コリアンダーパウダー 少々
カルダモンパウダー 少々
水溶き片栗粉 大1
★蕎麦の実 1/4cup
★水 75mL
★塩 ひとつまみ

【作り方】
1,蕎麦の実を熱した鍋に入れ、軽く煎る(触ってほんのり温かくなるくらいまで)


2,水を入れて沸騰したら塩を加え蓋をして弱火で15分程炊く


3,炊き上がったら火を止め10分程蒸らしてヘラでさっくり混ぜる


4,太キュウリは皮を剥き、2cmくらいの輪切りにし、中央の種をスプーンでくり抜く。
(横着して一気にくり抜きましたが、輪切りにしてから種の処理をする方が確実に早く綺麗に仕上がります)


5,鍋に出汁を入れ温め4を加え、蓋をし弱目の中火で10分ほど煮る


6,調味料を加え更に3分ほど煮込む
(これまた横着して蕎麦の実もそのまま煮込みましたが、丁寧に作るなら工程3の後一度取り出し、このタイミングで再投入する方がおすすめです。)


7,火を止め水溶き片栗粉を加えたらよく混ぜ合わせてから再度弱火で加熱
8,粗熱が取れたら氷水または冷蔵庫で冷やし、盛り付けたら刻んだ大葉をトッピングして完成

加賀太きゅうりが手に入らない場合は、冬瓜でもよく似た感じの食感と性質(冷性・甘味)で作れますので入手しやすい方でお試しください。また、温かいまま食べるのも美味しいけれど、食が細くなっている時なは程よく冷やしてからの方が食べやすいかなと感じてい ます。

最後に

良くなるのには小さな努力の積み重ねが必要で時間がかかるけれど、悪くなるのは坂道を転げ落ちるように一瞬だなと個人的に改めて感じた7月。「あれこれ普段気をつけられていても体調崩すとかあるんですね〜」なんて驚かれることも多く、そのたびに私自身がびっくりしているのですが「ありますよ、人間だもの」。ただ、思い返せば私自身、アーユルヴェーダを学び始めて間もない頃は「知っているのに実践できなかった」など「できなかったこと」にばかり目を向けていた気がします。それが気づけば「あ、やらかしちゃったわ〜」と気づくことができてセーフ、「今はこんな調子だから今日からはこういうことに気をつけよう」という風に捉え方が変わり、万全で無いなりにも毎日を楽しむ心意気がほんの少しあれば、あとはなんとかなるんだよねと随分気楽になりました。皆様、ぜひもっと気楽にもっと気軽にアーユルヴェーダライフを楽しんでみてください。
アーユルヴェーダの教えは選択肢を狭める難しいルールではなく、健康で幸せに生きるために役立つツールですから。

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ライター&編集担当

アーユルヴェーダセラピスト尾下弥々
尾下 弥々
愛媛出身、大阪在住。ハマったらとことん!美味しいものと楽しいこと美しいものが好き、極力体力消耗したくないヴァータ強めのインドア派。
尾下弥々 記事一覧へ
意外と地道にこつこつタイプです。元々自炊は苦手。
アーユルヴェーダと栄養学を学んでから、体質や体調、季節にあったものを選ぶだけで勝手に栄養バランスも取れることに気付き、すごくシンプルな食生活となり、おうちごはんも楽しめるようになりました。歳を重ねるごとにより快適により楽により良く美しくなる、そんな穏やかで豊かな人生を送る「智慧」を独り占めせず、ひとりでも多くの人に届けられる人で在りたいです。
英国アーユルヴェーダカレッジ認定 アーユルヴェーダビューティーセラピスト/ライフカウンセラー
日々の食事等はInstagramに載せてます
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