消化器系の最終部にある大腸。大腸の構造や働きがわかると下痢や便秘を改善するためにはどんな生活をしたらよいかが分かります。
今回の記事では、アーユルヴェーダにおける便秘や下痢の対処法もご紹介しています。
目次
大腸の働き
私たちは健康で元気に生きるために、食物から体に必要な栄養分を摂取します。食べてから排泄までの一連の消化活動をする器官を消化管といい、口腔→食道→胃→小腸→大腸→肛門の順番で一本の管になっています。その中で大腸は、消化器官の最終部です。長さは全長約1.5~2m、管の直径は約5~7cm(小腸に比べ約2倍)あります。伸縮するとは言え、思った以上に直径が太いことに驚きです!
大腸は、盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸からなり、小腸と大腸の連結部分となる盲腸には回盲弁(かいもうべん)とがあり、液状の消化物の逆流を防ぎ、細菌侵入防止の作用があります。大腸の働きとしては、水分やミネラルを吸収し、糞便を形成し排泄するなどがあります。
アーユルヴェーダにおいては、大腸は「ヴァータ(風)の座」と言われています。「座」とはそのドーシャの影響が強い場所ということです。大腸は、内容物を動かし運び、水分を吸収する働きがあるのですが、「動性」「乾性」といったヴァータのもつ性質と繋がっていておもしろいなと感じました。
大腸の運動
大腸では小腸と同じく、「蠕動・逆蠕動運動」「分節運動」「振子運動」が行われています。
蠕動運動と逆蠕動運動
「蠕動運動」とは、腸管が収縮・弛緩(伸びたり縮んだり)をくり返し内容物を移動させ、体外へ排出する動きです。 1秒間に約1cmのスピードで内容物を動かしています。また、「逆蠕動運動」とは上行結腸から盲腸結腸にかけて起こり、水分吸収と細菌によって内容物の分解が行われます。
分節運動と振子運動
主に横行結腸で起こり、腸にくびれが出来、腸管が分節に分かれ、腸の内容物を粉々に粉砕し、食べ物と消化液とを混ぜる運動を「分節運動」と言います。また、腸管がジャバラ状に伸縮し、内容物を混ぜ合せながら移動させる働きを「振子運動」と言います。
大蠕動運動
横行結腸からS状結腸にかけて急激な強い運動が起こり、1日に1~2回の大蠕動で内容物を一気に直腸へ運搬し便意を起こします。特に朝食後に強く見られます。
大腸の内容物は「蠕動・逆蠕動運動」「分節・振子運動」「大蠕動運動」の順に移動し、便となり排泄されます。
大腸のしくみ
次に大腸のそれぞれの部分(盲腸、結腸、直腸)についてもう少し詳しくご紹介したいと思います。
盲腸
盲腸は退化した器官で特別な働きはしていないそうです。盲腸にある小指くらいの小さな袋を虫垂と言い、細菌による感染などにより炎症を起こすと「虫垂炎(盲腸)」と呼ばれる症状になります。
結腸
大腸の大半は結腸で、主に水分を吸収し、内容物を運び、便を作る働きをします。結腸には上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸の4つがあります。
直腸
結腸で作られた便を一時的に溜めます。直腸がいっぱいになると腸の一部や腹部の筋肉が収縮し、大脳皮質から便意が指令され、肛門の筋肉が緩み便が外に押し出されます。
大腸の不調「下痢」について
なぜ下痢になるの?
下痢は、大腸内での動きが通常より早くなり、水分吸収が十分にできないことで、便が固形にならず液状で排便されることで起こります。下痢の主な原因は「食べ過ぎ、飲み過ぎ」「ウィルス感染」「冷え」「大腸や小腸の病気」「ストレス」「薬の副作用」などが主です。また、下痢には「急性下痢」と「慢性下痢」があり、それぞれ以下のような原因で起こるとされています。
急性下痢
- 細菌感染
- 食べ過ぎ、飲み過ぎ
- アレルギー
- 薬の副作用など薬物によるもの
慢性下痢
- 過敏性腸症候群(緊張やストレスによる自律神経の乱れ)
- アレルギー性胃腸炎(特定の魚介類、卵などのアレルギー)
- 乳糖不耐症(牛乳中の乳糖を分解する酵素の欠乏)
アーユルヴェーダで考える「下痢」
アーユルヴェーダにおいて下痢は、ピッタ(火)が乱れたときにあらわれる症状とされています。「熱性」「鋭い」などの性質を持つピッタは、辛いもの、刺激が強いもの、怒りの感情、などによって増えると考えられています。ピッタのエネルギーが増えすぎると、消化力や代謝力が強くなりすぎてしまいます。その結果、内容物の水分がきちんと大腸でが吸収されないくらいのスピードで消化されてしまうことになり、その結果、下痢になります。
下痢になったときの対処法
下痢になったときには、以下のように対処するとよいでしょう。
- 水分を少しずつとる
- 消化によいものや栄養価の高いものをこまめにとる
- 消化に重いものや冷たいもの、刺激の強いものは控える
- 安静にする
急性の下痢や重度の下痢の場合には、薬を飲むことも必要ですが、アーユルヴェーダでは、軽い下痢は毒出し、浄化と考えられるため、無理にとめずに上記のような対処法をとりながら様子をみてもよいでしょう。
大腸の不調「便秘」
どうして便秘になるの?
便秘は、大腸内での動きが通常より遅くなることで、大腸内の水分がなくなってから排便されることで起こります。そのため、便は固く排便しずらい状態になっています。便秘の主な原因は「運動不足」「栄養不足」「食物繊維の不足」といった便の質に関わるものと「運動不足」「便意を我慢してしまう」といった排便を促すことを妨げるもの、
そのほか「ストレス」「薬の副作用」なども便秘の原因となります。
アーユルヴェーダで考える「便秘」
アーユルヴェーダにおいて便秘は、ヴァータ(風)が乱れたときにあらわれる不調と考えられています。「乾燥」の性質が優勢なヴァータは、水分や油分の不足により増えます。また、ヴァータには「排泄」の役割が与えられているため、ヴァータが乱れると排泄する機能がストップしてしまい、便秘になると言われています。
便秘になったときの対処法
便秘になったときは以下のように対処するとよいでしょう。
- 規則正しい生活をする
- バランスのよい食事をとる
- 食物繊維の多い食品をとる
- 毎日決まった時間にトイレにいく
排便は毎日なくても、2~3日に1回、規則正しく起こり、お腹に痛みや不快感がなければ、便秘とは言わない場合もあるそうです。
排便されずに体の中に残った状態はアーユルヴェーダではアーマ(毒)になるとされているので、規則正しい生活と適度な運動で体調を整えることが大切ですね。
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ライター&編集担当
春田早希子
三重県出身。カパ体質のゆっくりマイぺースだが、こだわりは強め。
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大学卒業後、地球一周船旅に乗船、現在のパートナーと出会うきっかけに。様々な国を訪れ自分がいかに恵まれた国、環境に生まれ育ったかを痛感。帰国後はフェアトレード専門店に7年勤務し結婚を機に退職。新婚旅行で東南アジアあたりを約4ヵ月かけて巡るバックパッカーの旅へ。旅で立ち寄ったインドやスリランカでアーユルヴェーダに興味が湧く。帰国後は東京に移住。中小企業3年勤務後退職し、英国アーユルヴェーダカレッジ49期入学。2022年5月卒業。さらに知識を深め、自分に出来る方法で誰かの笑顔のためになりたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。