皮膚から探る内臓の働き【皮膚生理学】

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胃の調子が悪い時に口の周りに吹き出物ができたことはありませんか?。
皮膚は内臓の状態をうつしだす鏡と言われているのを聞かれたことがあるかと思います。

セラピストとして、お客様の皮膚の状態を観察することから、体の健康状態を探り、一人ひとりに最適なケアをしていくためにも、皮膚と内臓の関係を知っておく必要があります。皮膚生理学では、皮膚の基本構造や美肌を保つためのケアだけでなく、内臓の機能低下や障害が皮膚に及ぼす影響についても学びます。

今回の記事では、内臓の働きや障害が皮膚に及ぼす影響や、ドーシャの乱れが皮膚に及ぼす影響についてご紹介していきます。

内臓の働きと機能低下による皮膚への影響

皮膚に影響を与える内臓にはどのようなものがあると思いますか?!まずは、皮膚に影響を与える内臓の働きと、それらの内臓の機能が低下した時の皮膚への影響についてご紹介します。

肝臓

肝臓は「生体の化学工場」といわれるほど、消化や代謝に関わる多種多様な働きをしている臓器です。主に「栄養素の貯蔵や加工」「胆汁の生産」「解毒」「過剰なホルモンやアルコールなどの分解」といった働きをします。

肝臓の機能が低下すると現れる皮膚への影響の代表的なものとしては、皮膚が黄色くなる「黄疸」が挙げられますが、そのほかにも、特に夏場による起こる、紫外線により肌が赤くなり、ヒリヒリする「日光皮膚炎」や、ウオノメやタコのように皮膚が厚く硬くなる「角化症」、30代から40代の女性が発症しやすいといわれる「肝斑」なども肝臓の機能低下による影響だといわれています。

腎臓

腎臓は、背中側の腰の高さに一対ある臓器です。尿を生成し、体内の老廃物の排泄をしたり、体内の恒常性を維持したりする働きがあります。そのため、腎臓の機能が低下すると、体内の水分バランスが乱れることで、くみやすくなったり、体内から老廃物が排泄されないことから、湿疹ができやすくなったり、皮膚炎をおこしやすくなったりします。

胃腸

胃から大腸までの消化器系も皮膚に大きな影響を与えます。胃は、食事として摂取したものの殺菌や消化をする働きがあります。一方、腸には、消化された栄養や水分の吸収をおこなったり、老廃物を排泄しりする働きがあります。そのため、食生活の偏りやストレスなどから胃腸の機能が低下すると、食べたものがうまく消化されないことからニキビや脂漏性皮膚炎になったり、便秘により、腸から有害物質が吸収されることで、皮膚のうるおいの低下、くすみ肌につながります。

膵臓

膵臓は、膵液を分泌することで、消化の働きを助けたり、血液の濃度を調整する働きがあります。膵液の中には、炭水化物を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシノゲン、脂質を分解するリパーゼが含まれています。膵臓の機能が低下すると、栄養素の代謝異常が起こる為、皮膚のかぶれや湿疹、ビタミンB不足からくる口びるや口角の炎症がおこります。

卵巣

卵巣では、卵子の形成や女性ホルモンの分泌が行われています。女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」はコラーゲンの生成を行う働きがあったり、「プロゲステロン」には皮脂の分泌を行う働きがあるなど、皮膚にも密接に関係しています。そのため、卵巣機能の低下により、女性ホルモンのバランスが乱れると、様々な影響が皮膚に現れます。例えば、妊娠時にはむくみや色素沈着が起こりやすくなります。また、更年期になると、自律神経の不安定さから湿疹ができやすくなることも。特に妊娠や更年期といった特別な時期でなくても、生理前の浮腫みや肌荒れ、イライラのようなPMSの症状は、卵巣機能のアンバランスによるものです。

副腎

副腎は、腎臓の上端にくっついている腺で、コルチゾールやアドレナリンなど、ストレスに対抗するホルモンを分泌します。コルチゾールやアドレナリンは、皮膚の色素沈着やシミなどにも関係するホルモンであるため、副腎も皮膚と関係の深い場所であるといえます。副腎の機能が低下していることを最も自覚しやすいのは「疲労感」。ストレスが続く状態で疲労と合わせて、皮膚の色素沈着やシミも気になるという場合は、副腎の機能低下の可能性もあります。

甲状腺

甲状腺には、新陳代謝の過程を刺激、促進する甲状腺ホルモンを分泌し、恒常性を維持する働きがあります。そのため、甲状腺の機能が低下すると新陳代謝が悪くなり、結果として、皺やたるみを引き起こす一因となります。また、機能が過剰になりすぎると、過剰な発汗やかゆみを引き起こすことがあります。

湿疹や色素沈着などは、複数の臓器の関連でみられる症状もあるので、皮膚の状態からどの臓器の障害による影響かを判断することは難しいこともあります。

ドーシャの乱れによる皮膚への影響


最後に、自分のドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)が過度に増えすぎることによりバランスが乱れ、皮膚などに現れる主な症状をお伝えします。現在の自分の皮膚にも当てはまることはないか是非チェックしてみてください。

ヴァータの乱れ

・筋肉が緩み垂れ下がる
・皮膚機能の低下
・痛み(針で刺すような、割れるような)
・喉の渇き
・異常な乾燥
・ざらざらした肌
・手足や組織の硬直
・顔色が青白く、血色が悪くなる

ピッタの乱れ

・炎症して赤くなる、熱くなる
・汗が多く出る
・むくみ
・疲れ
・めまい
・膿が出る
・顔色が青白い

カパの乱れ

・かゆみ
・冷たい
・重い
・むくみ
・動き、思考が遅い

このように、ドーシャバランスの乱れからも皮膚や体調に不調を及ぼします。
そこで、ドーシャの乱れを整えるためにアーユルヴェーダの考え方を取り入れ、増えすぎているドーシャエネルギーを減らしバランスを整える効果のある行いや、生活、思考、食事を生活に取り入れることをおすすめします。ブログで様々なドーシャの乱れを整える方法を紹介しているので是非参考にしてくださいね。
サロンなどでアーユルヴェーダを初めて知るお客様へも、生活に取り入れやすいバランスを整える方法をお伝えできるといいですね。

セラピストとして

セラピストは、あくまでお客様の身体の状態を知るための情報手段として皮膚生理学を学ぶことが大切になります。内臓に障害が発生すると、皮膚にも影響が現れるので、皮膚に何か症状が現れた時、軽い症状であれば、普段の生活習慣を振り返り改善できることもあります。

しかし症状が重い場合は事情をお伝えし、無理にトリートメントはせず病院の受診をすすめること、お客様の声に丁寧に耳を傾けることも大切なケアです。

目でみることができる皮膚の状態から多くの情報が得られること、セラピストとしてできること、できないことがあることも整理しておくことが大切になります。

 

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ライター&編集担当

アーユルヴェーダセラピスト春田早希子

春田早希子
三重県出身。カパ体質のゆっくりマイぺースだが、こだわりは強め。
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大学卒業後、地球一周船旅に乗船、現在のパートナーと出会うきっかけに。様々な国を訪れ自分がいかに恵まれた国、環境に生まれ育ったかを痛感。帰国後はフェアトレード専門店に7年勤務し結婚を機に退職。新婚旅行で東南アジアあたりを約4ヵ月かけて巡るバックパッカーの旅へ。旅で立ち寄ったインドやスリランカでアーユルヴェーダに興味が湧く。帰国後は東京に移住。中小企業3年勤務後退職し、英国アーユルヴェーダカレッジ49期入学。2022年5月卒業。さらに知識を深め、自分に出来る方法で誰かの笑顔のためになりたいと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

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